29年度事業方針

1.農業・農政及び組織をめぐる情勢と課題

 日本経済は、需給ギャップの縮小によりデフレからの脱却の兆しが見えつつあるものの、経済成長率は依然として低迷状態にあり、全国津々浦々に経済の好循環が波及するまでには至っていない。とりわけ、農業・農村地域を取り巻く状況は、農業生産額が減少するとともに、基幹的農業従事者の高齢化の進展や耕作放棄地の増加等が顕著になる中で、農業構造の改革、新規参入の促進が喫緊の課題となっている。

 一方、昨年末の臨時国会においてTPP(環太平洋経済連携協定)の承認がなされたが、米国のトランプ大統領が離脱を明記した大統領令に署名したことで、TPPの発行が見通せなくなった。こうした状況の下、政府・与党は、農業の成長産業化に向けた農業改革に関する「農業競争力強化プログラム」を取りまとめ、これを「農林水産業・地域の活力創造プラン」に追加することにより、生産から・加工・消費に至る構造改革の推進を図っている。

 農業委員会組織については、昨年4月の改正農業委員会法の施行を踏まえて、農地利用の最適化の推進をはじめ農地情報の収集・提供、担い手の育成・確保に向けた取り組みが期待されている。農業委員会の新体制への円滑な移行と一般社団法人となった都道府県農業会議及び全国農業会議所の農業委員会ネットワーク機構(以下「機構」という)としての農地の最適化の推進の取り組みが期待されており、農地中間管理機構との連携、農地情報公開システムの機能向上による農地の利用意向を含めた最新の農地情報の整備と担い手への農地利用集積に向けた一層の取組強化が必要である。

 本年は、県内の大半となる19市町で農業委員の改選期を迎え、農業委員会が新体制に移行する年である。この新体制への移行を円滑に行い、農業委員会及び農業委員・農地利用最適化推進委員が積極的に役割を発揮できるようにすることが重要である。

 加えて、農地の確保・有効利用を図るため、改正農地法を踏まえた農地の転用許可事務等の適正かつ公平・公正な執行に向け全力を挙げて取り組むとともに、農業者や地域の声を農政にしっかりと反映させ農業者等の期待に応えるため、以下のとおり取り組む。

 

2.事業推進の重点方針

1)新・農業委員会制度の下での組織・活動体制の整備強化

 改正農業委員会法の理解促進に努め、市町農業委員会の新体制への移行が円滑に進むよう支援を強化する。あわせて、組織変更後の農業委員会の実態把握・情報の共有化を推進し、組織の課題・問題点を把握し適宜必要な対応に努める。 また、農業委員会活動への的確な助言や相談活動の円滑な推進に資するため、農地制度の仕組みや農地利用の最適化を推進するノウハウの提供等を目的に、農業委員・農地利用最適化推進委員及び市町農業委員会職員等を対象とした研修会を開催するとともに、市町農業委員会が主催する研修会等を支援する。

2)農地利用の最適化に向けた取り組み支援と農地情報の整備

 新農業委員会法で必須業務となった「農地利用の最適化」の具体的な柱である農業委員会における「農地利用最適化推進指針」の策定・実践のための助言・協力を行う。また、遊休農地の発生防止・解消に向けて定期的な農地パトロールの実施と遊休農地所有者等への利用意向調査、農地中間管理機構との協議の勧告等の取組が計画的かつ確実にできるよう支援するとともに、耕作放棄地再生利用緊急交付金を活用した耕作放棄地の再生利用活動を推進する。さらに、農業委員会の農地台帳等の整備、農地情報公開システムの運用が適切に行われるよう情報セキュリティ等の遵守等情報提供側の理解促進を図る。

3)農業者・地域の声を積み上げた意見の提出と政策提言活動の推進

 農業委員会ネットワーク業務の実施を通じて得られた知見に基づき、農業委員会が農地等の利用の最適化の推進に関する事務をより効率的かつ効果的に実施するため、関係行政機関等に対し、農地等利用最適化推進施策の改善について意見を提出する。農業会議構成団体組織である農業経営者組織、農業法人、認定農業者等の生の声や要望をくみ上げ、農業・農業者の代表機関として、農政活動を推進する。

4)農業経営の確立と新規就農・人材育成等の支援強化

 農業経営の確立支援については、これまで蓄積してきたノウハウをもとに、複式簿記記帳、青色申告の普及、集落営農の組織化・法人化の推進、家族協定の普及、農業者年金の加入促進を、農業経営者組織の自主的な組織活動と連携しながら継続し、担い手の確保・育成及び経営確立に向けた支援を強化する。また、新規就農・人材育成については引き続き「新規就農相談事業」や、「農の雇用事業」等を通して、農業への就業の定着と将来の担い手として自立できるよう支援する。

5)農業・農業者等に関する情報提供活動の強化

 改正農業委員会制度や改正農地法制度の施行を受け新制度の円滑な周知と農政の動向等を的確に情報提供するために、全国農業新聞・図書の普及・活用を図るとともに、農業会議のホームページや農業委員会だよりを通して農業者のみならず幅広く情報の提供に努める。